前提
空き家特例の3000万控除においては、対価の額(以下「売却額」という。)の合計が1億円未満でなければならない旨、租税特別措置法第6項及び第7項において定められています。
この場合、「適用前譲渡」の期間中の売却額と、「適用後譲渡」の期間中の売却額の合計額をもって、1億円以上であるのかそうでないのかの判断をします(租税特別措置法基本通達35-20)。
なお、適用前譲渡の期間とは、「当該相続の時から第三項の規定の適用を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の十二月三十一日までの間」(租税特別措置法第35条第6項)をいい、適用後譲渡の期間とは、「同項(注 租税特別措置法第35条第3項)の規定の適用を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の翌年一月一日から当該対象譲渡をした日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間」(租税特別措置法第35条第7項)をいいます。
したがって、この適用前譲渡と適用後譲渡の期間内に複数回に分けて譲渡しても合計額で判断されるため、1億円の要件に引っ掛かり、どの譲渡についても空き家特例の3000万控除は使えないことになってしまいます。
逆に言うと?
と、いうことは、逆に言うと、この期間内に1億円未満の額で譲渡したうえで特例を適用させ、期間外に2回目以降の譲渡をすることによって、1億円の要件に引っ掛からないとすることができるわけです。
具体例を見ていきましょう。
相続開始日が令和8年で、初回の特例適用予定の1億円未満の譲渡が令和9年中にあるとします。
この場合、2回目の譲渡はいつが良いのでしょうか。
答えは、令和12年1月1日以降です。
この日以降であれば、譲渡した令和9年から3年後の年末である令和12年12月31日までが計算期間となるため、翌日以降に譲渡をすれば、計1億円の要件に触れないことになります。
ちなみにこのケースの場合、計算期間内である令和11年12月31日以内に2回目の譲渡を行い、1回目と2回目の売却額の合計が1億円以上なら、空き家特例の3000万控除は一切受けられなくなってしまうので、ご注意ください。
まとめ
- 譲渡金額が1億円を超えると、空き家特例の3000万控除は一切受けられない
- 分割譲渡して1億円の要件を回避する場合、初回の特例適用譲渡の日の3年後の12月31日以降なら大丈夫
- 適用前譲渡と適用後譲渡の計算期間内に合計1億円以上の譲渡を行うと、3000万控除は一切受けられない
空き家特例の3000万控除はただでさえ適用要件が多く複雑な特例です。
その上、上記のような積極的な節税を行うとすれば、なおのこと慎重な判断が求められます。
できれば、資産税に強い税理士に事前に相談されることをおすすめします。
なぜならば、数万円の相談料で3000万円を控除できれば、十分に費用対効果が望めるからです。
また、納得できない場合は特にそうですが、複数の専門家に確認をすることも大切だと思います。
いずれにせよ、空き家特例の3000万控除の適用にあたっては、慎重な判断をしてください。
タケヒト租税法務事務所
